来年度は歳入増も、歳出も増加
サウジアラビアでは12月22日、サルマン国王が閣議を開き、2017年の予算を承認した。
サウジアラビアの2017年予算における付加価値税(VAT)の準備は、国の消費の質と量に大きな影響を与える可能性が高い。VATの適用が包括的になるだけでなく、将来的には、その範囲内に含まれる消費財やサービスの助けとなるためである。
中東最大の産油国であるサウジアラビアは、原油価格の低迷で2年連続で財政赤字に陥っており、来年は歳入が増えるものの、歳出も増加することから、3年連続で財政赤字となる見通しとなった。赤字額は日本円でおよそ6兆円となる。
なお、来年度の歳入増の要因は、主要な産油国との減産の合意で原油価格がやや持ち直したことであり、また歳出増については、隣国イエメンの反体制派への空爆や収入の少ない世帯への新たな手当支給などが挙げられる。
湾岸協力会議諸国が2018年VAT導入
この財政赤字の解消に寄与することが予想されているのが、2018年に予定されている付加価値税(VAT)導入である。付加価値税(VAT)から生み出される歳入は、日本円にして7,800~9,400億円に達すると予想されている。
2018年にVATが導入されるのはサウジアラビアだけでなく、同国も加盟する湾岸協力会議(GCC)の加盟国全てで行われる。GCC加盟国は、アラブ首長国連邦・バーレーン・クウェート・オマーン・カタール・サウジアラビアの6カ国である。
なお、この6カ国のうちオマーンは11月5日、2018年1月1日からの付加価値税導入を既に正式に発表している。
VAT導入の背景
このGCC加盟国のVAT導入については、今年2016年2月24日に国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事と共にドバイにて行われた記者会見で、2018年導入で同意されたことが発表されていた。
これは、IMFがGCC加盟各国に対して、原油価格の下落に起因する歳入の急減を補填するため、現行の税制を改革すると同時に、新たな税制を導入して 金融制度を強化するよう提言してきたことが背景にある。
その一方、サウジアラビアでは、豊富なオイルマネーを元手に、国民に対し教育や医療を無料で提供するなどしてきたが、VAT導入で国民の不満が高まることも予想され、今後どう対応していくかが注目される。
(画像はAL ARABIYA Englishサイトより)

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