21%から4%へ
スペインのルイス・デ・ギンドス経済相は12月6日、eBookと電子雑誌(新聞)の付加価値税(VAT、現地語ではIVA=Impuesto sobre el Valor Añadido)を、現行の21%から4%に引き下げることを示唆するコメントを出した。
現在、電子媒体のeBookなどは標準VAT税率の21%が適用されるが、紙媒体の新聞、雑誌、本については軽減税率4%となっている。
背景
今回の税率軽減に関するコメントは、欧州委員会が12月初頭に提出した法案が背景にある。
欧州委員会は12月1日、「EU域内の電子商取引の付加価値税(VAT)環境を改善する一連の措置およびオンラインビジネスを支援するための新しいルールについて」の法案を提出しているが、この中で、電子書籍のVAT税率に関し、紙媒体と同じ軽減税率の適用を加盟国に認めるとしていた。
「文化財」か「サービス」か
これまでのEU VAT指令によると、紙媒体は軽減税率適用可能だが、電子媒体には適用可能な対象とならず、標準税率を適用しなければならない。これは、紙書籍は「文化財」である一方、電子書籍は「電子サービス」とみなしていたためである。
しかし、フランスやルクセンブルクは電子書籍を「書籍」とみなし軽減税率を適用していた。そこに目をつけたAmazon、Apple、Koboなど海外電子書籍ストア大手は、高税率を回避するためルクセンブルクに法人登記していた。
そのため、欧州委員会は「電子書籍は購入者の居住国をベースにVAT税率を適用」などの対策を打ち出したが、各国の出版業界団体が抗議を行うなど、見直しを求める声が上ったため、方針が二転三転し、今回の紙媒体と同じ軽減税率の適用を加盟国に認める法案となっている。
なお、実際に電子書籍に軽減税率が適用されるかどうかは、各国の判断となり、国ごとに関連法の改正が必要となることに注意したい。
(画像はEL MUNDOホームページより)

EL MUNDO
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