増税を見合わせる
スペインのマリアーノ・ラホイ・ブレイ首相は22日記者団に対し、スペイン来年度予算で個人所得税(IRPF)及び付加価値税(IVA)の増税を見合わせる意向を語った。
少数与党となった国民党は、選挙運動で、社会全体に大きな影響を与える増税は行わないことを公約に掲げていた。
これに対し、最大野党の社会労働党をはじめとする野党は、新政権がこれまで同様に財政緊縮策を推進する構えで、野党との協議に前向きではないと非難している。
同時に3つは不可能
またラホイ首相は、中道の新党シウダダノス(市民党)に対し「『EUとの財政赤字目標達成の約束』、『税収減』、『財政支出増』の3つを同時に行うことは不可能」と指摘した。
また、市民党のアルベルト・リベラ党首による、来年度予算の財政支出上限額引き上げ要請を批判した。
今後下院議会は、財政支出上限額の設定後、来年度予算の審議に入る。
背景
スペインでは、昨年12月の総選挙、さらに今年6月のやりなおし選挙でも、第1党の国民党をはじめとする主要4政党がいずれも議会下院で過半数を得られない結果となり、10ヵ月の間、政権が樹立できない政治空白状態が続いていた。
10月末までに首相が決まらなければ、年末に3度目の総選挙が予定されていたが、これまでラホイ氏の信任を拒否してきた社会労働党が幹部会議で、信任投票で棄権すると方針を変更し、その結果、10月29日にラホイ氏が首相再選されている。なお、社会労働党の前党首サンチェス氏は辞任した。
新内閣は11月3日に発足している。ただし新政権は、連立ではなく単独少数政権のため、野党の協力なしには予算や法案を議会で可決することができず、政権運営は困難が予想されている。新政権の最優先課題の一つは2017年予算である。
社会労働党は「総選挙を回避するためで、政権を支持するわけではない。ラホイ政権は、法案の一つ一つで過半数を得る努力が必要になる」と指摘している。

EL HUFFINGTON POST
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