中小企業や新興企業が対象
欧州委員会は12月1日、域内の電子商取引およびオンラインビジネスを支援するための付加価値税(VAT)の新しい税制ルールを提示した。
その中で欧州委員会は、中小企業や新興企業のVAT手続きの簡素化を提案している。欧州委員会は、現行のVAT制度の複雑な手続きが、特に中小企業やベンチャー企業のコスト負担となり、EU域内の国境をまたいだデジタル市場の成長の障害になってきたとみていた。
1万ユーロ以下なら国内で処理
VAT手続きの簡素化として、まず、オンラインで販売された国外での1万ユーロまでの売上については、自国のVATルールを適用することが認められるようになる。
これは、EU域内で43万社の中小企業が適用対象となり、また、これらの会社が行う国外取引のうち、97%が自国で処理されるようになることを意味する。
さらに、第2のしきい値として10万ユーロが設定され、これ以下の中小企業の取引については、顧客の拠点を特定するための手続きを簡易化するとしている。これにより企業のコストは軽減され、取引が活性化することが期待される。
これらのしきい値は、早ければ、電子サービスについては2018年、オンライン商品については2021年に適用される可能性がある。
手続きの簡素化による効果
これらの簡素化により、中小企業は、自国のVAT規則と同様の請求書作成要件や記録保持をすればよくなる、などの恩恵を受けることになる。また、税務に関する窓口は、所在地の税務当局となり、取引先のある各国にとっては監査の必要がなくなる。
経済・税制・関税同盟担当委員のピエール・モスコビッシ氏は「我々の提案により、欧州各国政府は、市民へのサービスに費やすことができる資金が、1週間に1億ユーロ分増えることになる」とコメントしている。

European Commission - Press release
http://europa.eu/rapid/press-release_IP-16-4010_en.htm