2017年春適用を目標に調整
日本の財務省と金融庁は、平成29年度税制改正の一つとして、ビットコインなどの仮想通貨について、購入時には消費税を課さなくする方向で調整に入った。2017年春からの適用を目指している。
日本の税制では、仮想通貨を購入する際に8%の消費税がかかり、利用者は手数料などと併せて支払っている。しかし世界的に見た場合、諸外国ではVATの対象外とする動きが広まっており、主要7カ国(G7)で仮想通貨に消費税を課しているのは日本だけという現状があった。
今回の調整は、金融庁が、仮想通貨にかかる消費税を非課税取引扱いとしたい旨の要望を提出していたことを受けたものである。
「支払い手段」として位置づけ
仮想通貨は、今年成立した改正資金決済法で、『不特定多数間での物品購入・サービス提供の決済・売買・交換に利用できる「財産的価値」で、情報処理システムによって移転可能なものと定義される。つまり、法定通貨ではないが、決済手段の一つ』と解釈されている。
財務省は、同法の定義に沿って、仮想通貨を、モノやサービスでなく「支払い手段」と明確に位置づけ、非課税にする方針だ。この方針は、年末の与党税制調査会での議論を経て、正式に決定される見込みである。
事業者・利用者への影響
仮想通貨が非課税となった場合、事業者にとっては、消費税を税務署に納める手間が無くなり、取引がより円滑化されることになる。
また利用者にとっては、もともと仮想通貨には、送金手数料がほぼゼロだったり、海外でも法定通貨を両替せずに使えたりするなど利点が多かったところに、購入時の消費税分の価格が下がり、より仮想通貨が買いやすくなる。
つまり非課税化により、ビットコインなどの仮想通貨は「お金」としての存在感を増し、利用者の増加に弾みがつきそうだ。
なお、ビットコインは値動きが激しいのが特徴で、投資目的で利用している人も多いが、仮想通貨の売却益には所得税が課せられる点は変わらず、この点には注意が必要だ。

財務省
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